和尚のひとりごと

曹洞宗 島田地蔵寺 「和尚のひとりごと」です。
精神科の先生

イライラするのは・・若いからですね
「うつ病です」という四十六歳の女性に同行して、精神科の病院を訪ねた。心療内科というのだそうだが、待合室に想像以上にたくさんの人がいて驚いた。元気そうに見えるこの人にどんな悩みがあるのだろうか。
やがて名前を呼ばれ診察を受けることになった。私は付き添いだが、先生の配慮で入室し、彼女から斜め前に座った。
「どうされましたか」
「・・私、最近、イライラするものです」
「そうですか、イライラするのですか、・・・それはね、脳が活性化しているからですね。若いからですね」
その時です。うつむいていた彼女が顔を上げて、ふっと微笑んだのです。
彼女は私が自動車に乗せて病院に来るまで、ほとんど口を開かず、問いにもほぼ無言であった。その彼女が、医師の一言で笑ったのです。驚きました。
仏様の解決方法
物事を解決するにはいろいろな方法があります。お釈迦さまは四諦(したい)という方法を示されています。四つの諦め(あきらめ)というのですが、諦めは、飽きてしまう、達成をあきらめてしまうではなく、明らかにするという意味です。

四つの諦めとは、
@苦 諦 ・・くたい
 現実を確かめなさい。なかなか思うようになりませんね。
A集 諦・・じったい(しゅうたい)
原因は何でしょうか。欲ですか。
B滅 諦 ・・めったい
悪因を除きましょう。
C道 諦・・どうたい
健全な状態を維持しましよう。
この四つのことで、私はよく話しています。
ところが、この精神科の先生の対応を見てとても反省しました。
 もし彼女が「イライラする」と私に訴えたら、どう対応するだろうか。
まず、「どうして?」とか、「何があったの?」と問うだろう。結果は、彼女は一層口を閉じ、こちらがイライラしてしまう。振り返ってみればそんな対応ばかりしていないだろうか。
精神科の先生は、まず彼女の実情を認められた。
 「そうなの、イライラするのね。それは脳がね・・」
ここで先生は原因を追究されていない。まず、現況の確認である。これで彼女は口を開いた。
つまり、私は、第一段階の苦諦を飛ばしてAの集諦から問うている。これでは解決しない。「お釈迦様の解決方法」などと人に話していても、一番理解していないのが自分だった。
ノート一つの診察室
精神科の先生の机の上は、ノートと筆記具だけだった。もちろん、周りには医学書などが置かれているが、聴診器もメスもない。が、見事に心を開かれた。
医学生が最初に学び、最後に学ぶものは精神科と聞いたことがある。人は言葉で生きていると思った。


日時 2019年11月03日 23:03 | 分類項目: 和尚のひとりごと | 固定リンク(この記事のURL)


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